本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

筒井康隆断筆解除作「邪眼鳥」は難解

邪眼鳥 筒井康隆 新潮社 1997年4月25日初版発行 1300円+税 筒井康隆氏の断筆解除後に出た短編集「エンガッツィオ司令塔」を先日再読した影響で、断筆解除作「邪眼鳥」が気になり、こちらも再読することにした。 「邪眼鳥」の出版は、世間的にも、私にとって…

筒井康隆断筆解除短篇集「エンガッツィオ司令塔」の強烈

エンガッツィオ司令塔 筒井康隆 文春文庫 2003年4月10日初版発行 524円+税 単行本2000年発行 筒井康隆が断筆したのは1993年9月で、断筆解除は1996年末。作品の発表は翌1997年の「邪眼鳥」で、この単行本の発行は1997年4月。短篇集は、新潮社の雑誌に書いた…

志の輔による旅に関するマクラの本「志の輔旅まくら」

志の輔旅まくら 立川志の輔 新潮文庫 2003年5月1日初版発行 400円+税 落語初心者の私が聞いているのは、寄席での噺ではない。落語のCDである。それも、図書館に置いているCDを借りて聞くという活動が主体なので、主に昭和の名人といわれた方々の名作の数々…

暴力に魅せられた男たちが行き着くのは(地獄)か(煉獄)か(天国)か「天国の修羅たち」

天国の修羅たち 深町秋生 角川文庫 2022年8月25日初版発行 760円+税 2022年9月16日公開の映画「ヘルドックス」の原作は、2017年9月にKADOKAWAから単行本として刊行された深町秋生「地獄の犬たち」である。この小説は2020年に加筆修正され「ヘルドックス 地…

小林信彦による1981年の笑いの現場リポート「笑学百科」

笑学百科 小林信彦 新潮文庫 1985年7月25日初版発行 400円 古本屋で「笑学百科」を発見した。文庫版「日本の喜劇人」同様、いつの間にか紛失して、また読んでみたいと思っていた本だ。 「笑学百科」は1981年2月から6月まで夕刊フジに連載されたものをまと…

破滅型漫才師をクールな作家が描く。「天才伝説 横山やすし」

「天才伝説 横山やすし」小林信彦文春文庫2001年1月10日初版発行 初出「週刊文春」1997年5月1日・8日合併号~1月6日号単行本1998年1月 文藝春秋 作家小林信彦には芸人に関する著作が幾つかある。あまりに有名な「日本の喜劇人」(1972年)のほか、 1992年「…

小林信彦のコラム1998年「人生は五十一から」

「人生は五十一から」小林信彦文春文庫2002年4月10日初版発行 初出誌 週刊文春単行本 1999年6月 2021年7月、いつものように地元の図書館で「週刊文春」最新号を読んでいたら、小林信彦のコラムが最終回とあり、驚いた。 よく考えれば小林氏は高齢だし、数年…

セゾン文化をつくった堤清二と家族。「堤清二 罪と業」

「堤清二 罪と業 最後の『告白』」児玉博文春文庫2021年6月10日初版発行 単行本 2016年 文藝春秋刊 1980年代、私は20代で、東京に住んでいた。だから、いわゆる〈セゾン文化〉に様々影響を受けた。西武百貨店の一連の広告も好きだった。 その当時は景気が良…

クリスティーの超有名作「アクロイド殺し」を読む

なぜだか急にアガサ・クリスティーのミステリーが読みたくなった。クリスティーの小説を読むのは、子供のころ以来ではないか。 面白いと思ったことは記憶している。「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」「ゼロ時間へ」などを読んだのを覚え…

小林信彦の「喜劇人に花束を」(新潮文庫)の再読と単行本との比較

「喜劇人に花束を『植木等と藤山寛美』増補改題」小林信彦新潮文庫1996年4月1日初版発行 「この作品は平成4年3月新潮社より刊行された『植木等と藤山寛美 喜劇人とその時代』に、書き下ろしの第三部「伊東四郎」を増補し、改題した。」と巻末にある。 2021年…