本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

シャーリーズ・セロン変身(変形?)「タリーと私の秘密の時間」

  レンタルDVDで「タリーと私の秘密の時間」を観た。

 「マイレージ、マイライフ」を観て以来、ジェイソン・ライトマン監督のファンとなった私は、さらに「ヤング≒アダルト」を観て、シャーリーズ・セロンのファンにもなった。

 雑誌「映画秘宝」を買っていたような人は、たいてい「マッドマックス 怒りのデスロード」が好きで、したがってシャーリーズ・セロンには痺れているわけだが、それにしても本作「タリーと私の秘密の時間」のシャーリーズ・セロンは格別だったなあ。

 さて、「タリーと私の秘密の時間」は、一言でいうと「子育てコメディ」ということになるのであろう。実際にDVDは「コメディ」の棚に置いてあったわけだが、果たしてこれ、コメディであろうか。

 

 大きなおなかを抱えつつ、2人の幼児を抱えて子育てに奮闘中のマーロ(シャーリーズ・セロン)は、実はクタクタだった。やがて3人目が生まれ、限界を超えてしまう。そこでマーロは夜専用のシッターを雇うことを決める。やがて訪ねてきたベビーシッターは、若くて美しく個性的なタリーだった。

 

 この映画って、子育てを経験し「あれは大変だったなあ」と思ったことのある大多数の人々にすれば、涙無くして見られない超感動作なのではないか。子育ての経験がなく、子育ての何たるやといったことがこれっぽっちも解らぬ私が見ても大変に共感できた。外国の話ではあるが、子育ての大変さをリアルに描きつつ、同時に奮闘する母親像をファンタジーっぽく描写するといった感じが素晴らしい。

 とにかくシャーリーズ・セロンが凄い。演技が凄いとか、そういう問題ではなく、もう一見して凄い。演技などわからなくても、見た目がただ事ではなく、子供を3人産んだというリアルな体形が迫力で、あれはいったい何なのか。役作りで体重をかなり増やしているのは理解できるが、CGとかも駆使しているの? とにかくシャーリーズ・セロンの姿が画面に映っている間、ただただ迫力があるとしか言えない。身体が妙にでかく、顔は美形なシャーリーズ・セロンのままなので、とにかく変! ここまでやるかシャーリーズ・セロン! 美人女優がやりたがらないと思えることを、すべてやっている。

 「JUNO/ジュノ」で鮮烈デビューを果たした元ストリッパーのお姉ちゃんディアブロ・コディ脚本と奇才監督ジェイソン・ライトマンによる強力タッグ第3弾である。「JUNO/ジュノ」では若すぎる妊娠を、「ヤング≒アダルト」ではイケてた過去に囚われ大人になり切れない女性を、そして「タリーと私の秘密の時間」では子育ての現実を、エンタメ映画として作品化しているのが素晴らしい。

 タリー役のマッケンジー・デイヴィスも魅力的で、じつに面白かった。

 それにしても、女性たちはみんな素晴らしかったが、男は全員ボンクラっぽい感じだったなあ。

 

タリーと私の秘密の時間(2018年)95分

原題:TULLY

監督:ジェイソン・ライトマン

脚本:ディアブロ・コディ

撮影:エリック・スティールバーグ

出演:シャーリーズ・セロン、マッケンジー・デイヴィス、マーク・デュプラス ほか