本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

どのように見たらよいのか良くはわからぬ「プロミシング・ヤング・ウーマン」にシビれる

 キャリー・マリガンは好きな女優だ。だから、見逃していた「プロミシング・ヤング・ウーマン」をDVDで見た。わざと酔ったふりをして、お持ち帰りされ、いよいよというところで鉄槌を下すという、危ない(?)女性をキャリー・マリガンが演じている。

 ちょっと前の時代のアングラアート映画を思わせる画面作りが随所にみられるのが面白い。特にタイトルの出るところ。チープな手書き文字でタイトルが出て、裸足で歩くヒロインが変な迫力。あるいは中盤で、ヒロインがブチ切れて、暴言を放った男の車をボコるシーンでの、回転するカメラと通過する貨物列車のショットにシビれた。

 若い女性監督の長編一作目というこの映画、扱っているテーマは非常に重く、正直、男性の私としては少々ツラいものもあるが、あくまでミステリーサスペンス映画としてのルックを保っているところに好感を持つ。私は真木よう子が主演した「さよなら渓谷」を大きな感動を持って観たが、なかなかもう一度見ようという気になれない。その点、この「プロミシング・ヤング・ウーマン」は随所にPOPなセンスがあって(もしかしたら単に外国の映画だから、ドメスティック度数が低く感じられるせいかもしれないが)、例のシーンのポップなナース姿のキャリー・マリガンはふたたび見たい。あれって「キル・ビル」のダリル・ハンナを思い浮かべるよね。

 とはいっても、ミステリーだからといったって、これでよいのかというラスト近くの展開は衝撃だ。けっして楽しい映画ではない。

 ひとことで説明すると「必殺仕置き人女性版」といったような展開の映画であるが、バイオレンスシーンもセクシーシーンもほとんど無い。もっとやれ、と思ったのだけど、そういったシーンが無いのは、これは恐らく意図的なものなのだろうと思う。

 

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年)113分

原題:PROMISING YOUNG WOMAN

イギリス / アメリ

監督:エメラルド・フェネル

脚本:エメラルド・フェネル

撮影:ベンジャミン・クラカン

出演:キャリー・マリガン、ボー・バーナム、アリソン・ブリークランシー・ブラウン ほか