本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

インディ・ジョーンズ・パロディとしての「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」

 映画を観て、単純に「ああ面白かった」と幸福を感じた記憶No.1は1984年の「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」だ。確か新宿かどこかの比較的大きな満員の映画館で観た。娯楽映画であるから劇場は適度にざわついており、観客は大いに笑い且つ驚いていた。一作目「レイダース」と同様パラマウントのマークからおどろおどろしく始まると見せかけてのミュージカルオープニングに心を掴まれた。あとはもう解毒剤の争奪戦からトロッコまで「楽しい」の連続だ。満員なので私の両隣にも客が座っていて、それは左右どちらも男女カップルで、中盤、突如悪者が姿を現すショックシーンでは軽い悲鳴とともに私の両隣の女性が左右それぞれの連れの方へ凭れていき、ひとりで観ていた私の周りの空間がちょっと空く、というコントみたいなことが起こったと記憶している。

 以上のような「私とインディ・ジョーンズの思い出」みたいな話を延々と書けるほど、私はこのシリーズが好きなのである。

 

 といったわけで「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」をシネプレックス旭川の一番大きなスクリーンがある劇場No.2で観た。

 列車の中でのナチ軍団とのお宝の奪い合いから始まり、アポロ11号のパレードでの追いかけっこなどなど、どれもアイデアとユーモアにあふれたアクションで楽しかった。今回は、監督がスピルバーグではなく、これがかえって「スピルバーグとルーカスのインディ・ジョーンズ」パロディみたいになって、集大成感が出たのではないかと思われる。本人たちならここまであからさまにはできないでしょ、恥ずかしいから。

 といったわけで、ナチとのお宝争奪というメインプロットは「レイダース」、強欲な女性と生意気な少年との3人組での冒険はまんま「魔宮の伝説」だ。各所にオマージュ的シーンが挟まれ、光の当て方などの画面作りがスピルバーグっぽいと感じられるところがけっこうあって、スタッフみんなで「スピルバーグごっこ」をやっている楽しさが感じられた。

 それにつけても、これにてインディ・ジョーンズ・シリーズは見納めとなるとのこと。まあ、5作品あるわけだし、たくさん作ればよいというものではないから、完結を大いに喜ぶべきと思う。

 

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年)154分

原題:INDIANA JONES AND THE DIAL OF DESTINY

アメリ

監督:ジェームズ・マンゴールド

製作総指揮スティーヴン・スピルバーグジョージ・ルーカス

脚本:ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワースデヴィッド・コープジェームズ・マンゴールド

撮影:フェドン・パパマイケル

音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演:ハリソン・フォードフィービー・ウォーラー=ブリッジアントニオ・バンデラスマッツ・ミケルセン ほか