本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

テレビドラマデイズ2022夏◎初恋の悪魔

 松たか子松田龍平満島ひかりなどが共演するというので見たテレビドラマ「カルテット」(2017年)が面白かったので、坂元裕二という脚本家の名前を覚えた。「大豆田とわ子と三人の元夫」(2021年)はうっかり見過ごしたので、今回の「初恋の悪魔」はしっかり録画した。

 ミステリーコメディというフォーマットを採用しているため、ミステリー的な謎を毎回仕掛けなければならず、けっこう脚本づくりは大変であると思われる。さらに、毎回のエピソードで、主人公たちが作成する模型の中で事件を再現しながらトリックを考察するというビジュアル的にも凝った演出がなされている。

 そして、豪華なキャスティングに驚く。主演の林遣都、仲野太賀、柄本佑松岡茉優に加え、伊藤英明や田中裕子が脇を固め、さらにエピソードゲストとして松尾貴史、六角精児などが出演しているのだ。これは、脚本坂元裕二効果ということなのだろうか。

 林遣都が演じるのは元警視庁捜査一課のエリート刑事だが、不祥事を起こし謹慎中。明らかに挙動不審でサイコキラーにしか見えないというキャラ。仲野太賀は兄が優秀な刑事だったために劣等感の塊となり、親にも誰にも期待をされないまま警察の事務の職員となった男である。兄は謎の殉職を遂げ、これが物語全体の謎として、ストーリーの推進力となっているようだ。柄本佑も警察事務の職員で、唯一の友人が仲野太賀というコミュニケーション能力が不足したキャラ。松岡茉優は現職の刑事だが、なぜかいつもスカジャンを着て自転車で移動している謎の人物。どうやら二重人格らしい。つまり、このドラマの主人公たちは、気味の悪い犯罪オタク、負け続け人生の劣等感の塊、多重人格におびえる女、コミュニケーション障害などであり、けっして明るく元気な他のドラマのヒーローたちのようではない、というところが魅力なのですね。

 サイコキラーな思考回路の林遣都松岡茉優に恋愛感情を抱いたようで、そもそも恋愛などという概念を抱かないように生きてきた林遣都なので、それを殺意であると思い込む、というくだりが可笑しいのだが、これが番組タイトル「初恋の悪魔」の所以なのだろうか。

 と思っていたら回を追うごとにどんどん人間関係やら事態やらが変化し、謎が謎を呼び、物語は思わぬ方向へ転がり、新しい局面が姿を現しはじめた。面白い。いったい何が「初恋の悪魔」なのか。次回が待ち遠しい。

 

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