伊藤沙莉「タイトル、拒絶」でデリヘル事務所の内部を覗き見る
女優・伊藤沙莉がちょっと気になる、という理由から、DVDで「タイトル、拒絶」を観た。この映画の紹介記事で、黒ブラジャー姿の伊藤沙莉スチル画像を見た気もするが、映画が始まった途端いきなり現れる黒ブラジャー姿の伊藤沙莉に改めて度肝を抜かれる。以上の短いテキストの中に「伊藤沙莉」という名詞が3回、さらには「黒ブラジャー姿の」が2回使用されている。悪文というほかない。
さて「タイトル、拒絶」は、とあるデリヘル事務所を主な舞台とした映画なのだが、もともとは監督である山田佳奈の脚本による舞台劇であったらしい。
セックスをモチーフとした会話劇、という内容から、過去に見た三浦大輔脚本の「愛の渦」「恋の渦」に似た印象を持った。
狭い人間関係を延々と見せてゆくタイプの、非常に演劇的な映画なので、好みは分かれるだろうが、私には面白かった。
ビビってデリヘル嬢から降りて雑用係に甘んじる伊藤沙莉はもちろんよかったが、いつもニコニコしていて、お店の人気ナンバーワンを誇るマヒル嬢の「東京を燃やしてしまいたい」というセリフに、ちょっとだけ村上龍「コインロッカーベイビーズ」的な破壊衝動を感じ、なにか感動した。
マヒル嬢を演じていたのは恒松祐里という女優で、検索するとNHK朝ドラ「おかえりモネ」でヒロインの親友役をやっていた方とのこと。ということは、ついこの間まで見ていたはずで、そういえばなんとなく、と大変に曖昧な記憶を探る。人の顔が覚えられないというのは私の弱点であり、映画を見ている途中で「これ誰だっけ」となることが多い。とても不利である。おれは基本的に映画を見るのに適していないのではないか。
タイトル、拒絶(2019年)98分
監督:山田佳奈
プロデューサー:内田英治、藤井宏二
脚本:山田佳奈
撮影:伊藤麻樹