本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

とにかく成田凌と清原果耶の会話が心地よい「まともじゃないのは君も一緒」

 人とのコミュニケーションが苦手で、おそらく子供のころから「変」と言われ続けてきたために「普通」という概念がよくわからなくなってしまった数学オタクの塾講師、というのを成田凌が演じている。もう一人の主役は、何でもそつなくこなし、恋愛上級者のように装っているものの、実は恋愛未経験の女子高生を演じる清原果耶。

 成田凌と清原果耶の会話は、冒頭から嚙み合っていないようで噛み合っているというか、なんというか、その掛け合いが心地よく、ずっと聞いていられる。お二人とも、とても上手い。この映画、お話自体はどうということもなく、会話をひたすら楽しむための映画だと思う。

 スナックのシーンで清原果耶が自分の気持ちを吐露するのなどを見ると、ちょっと説明的すぎるのではないかとも思うが、わかり易さも大切なのだろう。もうひとつスナックシーンで気になったのが、ヒロインはここで酔っ払っているわけだが、実はエナジードリンクを大量に飲んでいるだけとのセリフがある。別に映画なのだから、女子高生が酒を飲んで酔っていても、かまわない気がするのだが、コンプライアンス的に法律を守っているのだろうか。とはいえ、このように程をわきまえた爽やかな物語の方が、現在の観客には受け入れやすいのかもしれないが。

 見かけどおり底の浅い評論家を演じる小泉孝太郎は、お芝居は(?)な感じだが、それらしくて笑ってしまう。その恋人である泉里香の演じる女性が、この映画の中で唯一まともな人という位置付けなのだろうか。

 コミュニケーションに問題のある年上の男性に突っかかっていく女子高生、という展開は、アメリカ映画「ゴーストワールド」を思わせたが、そういうわけでもなさそう。いずれにせよ、成田凌と清原果耶の会話が楽しかったので、よしとしよう。

 ところで「ゴーストワールド」って、どんな話だっけ? あまり覚えておらず、近いうちに見直したいと思った。

 

まともじゃないのは君も一緒 (2021年)98分

監督:前田弘二

脚本:山田佳奈

撮影:高田亮

出演:成田凌、清原果耶、泉里香小泉孝太郎 ほか