本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

志の輔による旅に関するマクラの本「志の輔旅まくら」

志の輔旅まくら

立川志の輔

新潮文庫

2003年5月1日初版発行

400円+税

 

 落語初心者の私が聞いているのは、寄席での噺ではない。落語のCDである。それも、図書館に置いているCDを借りて聞くという活動が主体なので、主に昭和の名人といわれた方々の名作の数々。録音が昭和であり、古い。江戸訛りの早口で、何を言っているのか分からない。たまには新しいのも聞きたい、というわけで、立川志の輔のCDを見つけたので聞いてみると、これが爆発的に面白い。

 「ためしてガッテン」とか龍角散のCMのひと、というぼんやりした印象だった立川志の輔だが、落語を聞いて、私の中で「名人」という印象に変わった。立川流の談志の弟子である談春志らくのCDも少し聞いたが、私の好みは断然「志の輔」である。

 といっても、しょせん、私は志の輔の落語CDを数枚聞いたに過ぎないのだが、そんな中のひとつに「抜け雀」という噺がある。この噺は名人・古今亭志ん生の持ちネタで、志ん朝のものも絶品であるが、それはさておき、立川志の輔のCD収録時の「抜け雀」のマクラが最高に面白い。

 どうやら志の輔という方は、旅行好きらしく、「抜け雀」マクラではラスベガスへ行った際のエピソードが語られる。それがとても面白い。どのように笑えるのかは、実際にCDを聞いてみてください。素晴らしいですよ。

 といったような記憶があったので、図書館で新潮文庫志の輔旅まくら」を見かけ、咄嗟に借りてしまった。タイトルどおりの内容である。志の輔の落語のマクラのなかから、旅に関するエピソードを文字に起こし、文庫化したのである。そのままなのである。

 映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」に感動してキューバへ行ったり、インドで様々なことをすごいと思ったり、北朝鮮で一大イベントを観覧したり、息子とエジプトでピラミッドを見たりしたことが語られ、大変面白かった。