本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

埋草日記◎初期アナログ盤が話題の山下達郎だが、ベスト盤をCDで聴く

図書館で山下達郎「OPUS」3枚組CDを借りる。「ALL TIME BEST 1975-2012」とのサブタイトル。私は山下達郎のファンとは決していえず、だから私レベルの人間が耳にするには最適なベスト盤ではないか。代表的な曲は網羅されている。聴いてみると、グッとくるのは初期の「夏だ!海だ!達郎だ!」といったイメージの曲なんだよなあ。ご本人は「夏=達郎」イメージを否定的に語るけど、こちら側からすると、それらの曲が耳に入っていた時代というのは私が若者だったころと重なるから、様々な記憶と相まって「グッ」とくるのであろう。単なる個人的で感傷的な理由にすぎない。ただ、本来POPミュージックというのはそういう記憶と感傷をもたらす装置として機能するのが正しいのではないか。だとすれば、私にとって山下達郎の音楽は、優れたPOPミュージックといえるのである。といったわけで、このアルバムは、とり・みきのイラストが可愛く、ライナーノーツの山下達郎の回想の文章も面白かった。

そして現在、山下達郎の初期アルバムが、レコードとカセットのアナログ盤で再発されている。そして大いにヒットしているとのこと。レコードとかカセットを購入などというのは、マニアといってよいと思う。つまり山下達郎にはたくさんのマニアが存在し、音楽的にひとつのジャンルとして成立しているのではないか。といったわけで、「山下達郎」というのは、一種の伝統芸能的な何かに達しているのではないだろうか。