本と映画の埋草ブログ

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アリー my love_メモ◎016「禁断の果実」[Forbidden Fruits]

 「アリー my love」の放送が始まった1998年のアメリカで大いに話題になったのは、クリントン大統領のセックススキャンダルだった。
 そんな世相を踏まえつつ、ドラマ「アリー my love」としては上院議員の不適切な略奪愛をモチーフとした回。

 既婚者の奥さんと不倫をし、奥さんを奪って、もとの夫婦は離婚することとなり、上院議員と奥さんは結婚。というわけで、もとの旦那さんが訴えたのだ。
 上院議員の不倫事件であるから世間の注目も大きく、アリーのいる事務所にとっても最大級の仕事。全員総出で裁判所に向かう。しかも一発かますため、法律が苦手なフィッシュが法廷に立って意見を述べるという。
 一種の撹乱戦法なのか。「こんな訴えは意味が無い。理由は二つ。まず国民の程度が低すぎるから、こんなスキャンダルを喜ぶ。もうひとつは、ぼくのようなひどい弁護士。なんでもかんでも訴える。上院議員がこんな裁判に付き合う必要は無い。税金の無駄」傍聴人に大いにウケる。しかし、裁判長は問う。「でも大統領も裁判に掛けられたんですよ」
 フィッシュは平然と言い放つ。「あれは最高裁の失敗。最高裁が間違えた、ってことで」
 却下されてしまい、アリーが上院議員を弁護する。

 アリーいわく、愛し合う二人が惹かれあうのは自然なことであり、当然のことであり、何の問題も無い。つまり、運命の二人であれば、くっつくのが正解であり、相手が結婚してようがかまわない、と主張。妙に熱が入っているように感じられるのは、ビリーとジョージア夫妻の間に入り込み、ビリーを略奪しそうなアリー自身の弁護のようにも聞こえるからか。
 っていうか、ジョージアはまさにそのように感じ取り、ぶちぎれてしまい、ビリーと口論。

 事務所のビリーの部屋へ連行されたアリーは、憔悴したジョージアを見ることとなる。「昨夜は一睡もしてない」と説明され、ビリーはアリーに言う。「昨日、ジョージアに打ち明けたよ。まだきみが好きだって」
 驚愕するアリー。「え、なんで」
 「きみへの気持ちは、ずっと変わらない。いっしょに育ったぼくの分身なわけだから」
 ビリーとジョージアのふたりのセラピストに会ってくれ、と頼まれる。当然、アリーは困惑するわけで、だって、これってビリーとジョージアの夫婦の問題ではないか。
 しかし、しばしばダンシングベイビーを見るようになってきたアリーの精神状態も、けっして万全とはいえない感じ。ルームメイトのレネも心配するが、アリーは宣言。「ゴタゴタしてたいの! それが私だから!」

 略奪愛の上院議員の裁判も佳境を迎える。相手側弁護士は笑顔の素敵な女性ベテラン弁護士で、アリーも対抗意識バリバリで笑顔対決をしたりして緊張感が漂う。
 上院議員は事務所の職員だった女性の書類入れに、ナット・キング・コールの「浮気はやめなよ」のテープを入れて渡したという。略奪であり、不倫と理解して戦略的に妻を奪ったとして攻められる上院議員は言う。「人は意図をもって、誰かを愛したりしない」

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 敵の女性弁護士の最終弁論は、上院議員は結婚の神聖さを侵したというもの。それに対するアリーの弁論は、運命の愛の尊さを訴えるもので、これが感動的なのであった。