本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

ちばてつやが描くみすゞの世界「わたしの金子みすゞ」

わたしの金子みすゞ
ちばてつや
ちくま文庫
2022年9月10日初版発行
880円+税

 ちばてつやのブログ「ぐずてつ日記」は、巨匠らしからぬ手作り感あふれる朴訥な日記で、にじみ出る人柄の良さが偲ばれ、愛読している。
 淡々としているものの、ちばてつやは現役の作家であるから、このブログはプロモーションの場でもあり、先日、ちくま文庫から「わたしの金子みすゞ」が発刊されるとの告知が載った。 
 ちばてつやが「金子みすゞ」の本を? 
 私は、詩というものを普段全く読まないので、金子みすゞという人をほぼ知らない。2011年の東日本大震災の際、ACのテレビ広告が繰り返し流れた際に「こだまでしょうか」を知ったクチである。面目ない。
 で、購入した「わたしの金子みすゞ」を眺めてみると「本書は2002年9月にメディアファクトリーより刊行されました」と巻末にある。20年前に出ていた本の文庫版の復刊なのだった。
 文庫版あとがきによれば、雑誌に連載していたものだというし、里中満智子の解説では、出版社の依頼により、里中満智子が企画してちばに金子みすゞの詩集を送り、実現したものであるとのこと。里中満智子はもともと金子みすゞのファンであったらしい。
 で、本書であるが、金子みすゞの詩をモチーフにちばてつやがカラーの絵を描き、文章を寄せる、という構成で、非常にシンプル。
 ちばマンガの魅力は流れるようなコマ運びにあると思っているので、一枚の彩色された絵、というのは実のところ物足りなさがあるのだけど、多くは少女を描いた、そのシチュエーションや構図などは間違いなく素晴らしいし、絵の構想が文章で簡素に解説され、ちばてつや独自の視点が加わっているのがわかるし、ノスタルジックな情景を描いた絵からは、やっぱりちばてつやの人柄の良さがストレートに伝わってくる感じがする。そして、ちばマンガの様々な女性キャラクターを連想できるという楽しみもあった。
 今回、ちばてつやを入り口に金子みすゞの詩を少し読んだが、その詩は平易な言葉で綴られていて読みやすく、とても音楽的で面白かった。26歳で亡くなったという金子みすゞの人生も気になった。
 繰り返し何度も読み直して楽しめる本だ。

 

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