本と映画の埋草ブログ

本と映画についてあまり有意義ではない文章を書きます

伝説のその後をいかに描くか「ゴーストバスターズ/アフターライフ」

 オリジナルの「ゴーストバスターズ」(1984年)は特大の大ヒットだった。なぜあれほどビル・マーレイに人気があったのだろうか。不思議だ。レイ・パーカーJr.の主題歌も大ヒットで、有名人がいっぱい出るミュージックビデオもよく目にした。シガニー・ウィーバーのセクシー演技も大評判。私は若く、日本の景気も良く、明るい80年代を象徴する映画といってよいと思う。時は流れてあれからもう40年近く経ったのである。感無量。私は老い、日本の景気は悪い。

 続編「ゴーストバスターズ2」は1989年公開で、今回DVDで見た「ゴーストバスターズ/アフターライフ」はその「2」の続編にあたるというわけか。

 人気シリーズであるから、もう一本、2016年に女性版の「ゴーストバスターズ」もあり、こちらも以前観て、よく覚えていないが、楽しかったような気はしている。

 今回の「アフターライフ」の注目ポイントは、監督を、オリジナル版のアイヴァン・ライトマンの息子であるジェイソン・ライトマンが務めているという点だ。

 ジェイソン・ライトマンは小さなコメディを描く監督で、「JUNO/ジュノ」では若すぎる妊娠を、「マイレージ、マイライフ」では全米を飛び回って馘首を言い渡す奇妙な職業のクールな独身主義者を、「ヤング≒アダルト」ではイケてた過去に囚われ大人になり切れない女性、といったような、なんだこの話、こんな題材でコメディ映画が作れるのか! といった面白い映画を作るので、好きな監督なのだ。

 父親は能天気なメジャーコメディを作り、息子はインディペンデントな深みのあるコメディを製作というのは、なんだかおもしろいなあ、と思っていたら、なんと人気作「ゴーストバスターズ」を手掛けるという。親子とはいえ、まったく作風が違う気がするが、大丈夫なのか。

 よくよく考えるとオリジナル版「ゴーストバスターズ」はあまり内容が無い、と言ったら失礼だろうか。陽気なバカ騒ぎを楽しく眺めるイベントムービーという感じ。さて、ジェイソン版の続編は如何に!

 といったわけで「ゴーストバスターズ/アフターライフ」は明るいホームドラマとして幕を開ける。貧乏なシングルマザーが二人の子供ともども部屋を追い出され、ド田舎の一軒家に住まざるを得なくなる。そのド田舎の一軒家というのは、シングルマザーにとって父の家であり、先日亡くなった父から引き継いだ物件。お金がないからここしか住むところが無い。父は元ゴーストバスターズであり、シングルマザーは父に捨てられたと思い傷ついていた。

 この母には前述のように二人の子があり、兄は15歳くらいで、妹が12歳くらい。この映画の実質的な主人公は、妹のフィービーだ。彼女は眼鏡をかけたオタク少女で友達が出来ない。だから、初めて学校に行くシーンでの母親のアドバイスは「自分らしさを出さないでね!」

 しかし、学校にはYouTuberみたいなヘンな男子がいて友達になったり、兄貴の方は街に着いた途端女の子に一目ぼれしたり、といった騒動が描かれる。やがて少女フィービーは自分の祖父が伝説のゴーストバスターズだったことを知り……、という流れなのだけど、私の好みはホームドラマ的な前半で、後半の「ゴーストバスターズ」的騒動は、やはりニューヨークを舞台にしたオリジナル版に軍配が上がるのではないかと感じた。

 当然1984年の映画のような大ヒットはしなかったようだけど、ドラマを楽しめ、お化け騒動もあり、我々の世代には懐かしいキャストも登場するというわけで、十分楽しめる映画だった。めでたしめでたし。

 

ゴーストバスターズ/アフターライフ(2020年)124分

原題:GHOSTBUSTERS: AFTERLIFE

アメリ

監督:ジェイソン・ライトマン

製作:アイヴァン・ライトマン

脚本:ギル・キーナン、ジェイソン・ライトマン

撮影エリック・スティールバーグ

出演:キャリー・クーン、フィン・ウォルフハード、マッケナ・グレイス、ポール・ラッド ほか